【令和7年土地家屋調査士試験・午後の部第18問】法定相続情報証明制度の攻略法

土地家屋調査士試験の勉強、お疲れ様です!相続に絡む登記申請は、近年の所有者不明土地問題の解消に向けた法改正(相続登記の義務化など)もあり、出題頻度が高まっています。その中で非常に便利な制度が「法定相続情報証明制度」です。
この記事では、令和7年度 午後の部 第18問を題材に、法定相続情報一覧図の「記載事項(本籍地がいるか)」「再交付期間」「戸籍の還付」「管轄」「申請時の添付省略」といった実務でも頻出のテーマを分かりやすく解説します。

① 問題と難易度

【問題の要約】
法定相続情報証明制度(本籍地の記載要否、再交付期間、戸籍等の原本還付、申出の管轄、登記申請時の写し提供の要否)に関するア〜オの記述のうち、正しいものの組合せを選ぶ問題です。

【各選択肢の要約】
ア:一覧図の保管申出の際、被相続人の「本籍地」の記載は必須か。
イ:一覧図の写しの再交付は、保存期間が満了するまでいつでもできるか。
ウ:保管申出の際に添付した相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)は返却されないか。
エ:保管申出は、申出人を所有権名義人とする不動産所在地の登記所にもできるか。
オ:土地の表題登記等の申請で、相続情報として「法定相続情報番号」を提供した場合、一覧図の写しの添付を省略できるか。

【難易度判定】
Aランク(必答)
制度の基本中の基本を問う問題です。実務に直結する知識ばかりなので、確実に得点したいところです。

【一言アドバイス】
法定相続情報証明制度は、「戸籍謄本の束を何度もいろんな場所に提出する手間を省いて、1枚の公的な家系図(一覧図)で済ませよう」という画期的な制度です。この目的を理解すれば、おのずと正解が見えてきます。

② 10秒でわかる結論

一覧図を提出すれば戸籍の原本はちゃんと「返ってくる」!そして電子申請等で「番号」を伝えれば、わざわざ紙の写しを添付しなくてもOK!
(根拠条文:不動産登記規則第247条等、法定相続情報証明制度の運用)

③ 思考プロセス ~法令・規則で斬る解法実況~

それでは、各選択肢を分析していきましょう。

肢ア

第1層:直感的判断(キーワード反応)
「被相続人の本籍地の記載を要する」。人の同一性を確認するのに、一番確実なのは住所より本籍(と氏名・生年月日)だよね!

第2層:法令根拠の提示
根拠は不動産登記規則第247条(法定相続情報一覧図の保管等)第2項です。作成される法定相続情報一覧図には、被相続人の氏名、生年月日、死亡年月日等に加え、「最後の本籍」を記載しなければならないと定められています。被相続人を一意に特定するための重要事項だからです。よって本肢は「正しい」です。

肢イ

第1層:直感的判断(キーワード反応)
「写しの再交付の申出」「保存期間が満了するまで行うことができる」。法務局にデータが残っている間(現在は5年間)なら、何度でも再発行してもらえるはずだ!

第2層:法令根拠の提示
根拠は不動産登記規則第247条第6項です。申出人(及びその相続人等の一定の者)は、対象となる法定相続情報一覧図が登記所に保存されている期間中(作成の年の翌年から5年間)であれば、何度でも法定相続情報一覧図の写しの再交付の申出をすることができます。よって本肢は「正しい」です。

肢ウ

第1層:直感的判断(キーワード反応)
「添付された戸籍の全部事項証明書」「返却されない」。えっ!銀行の手続きにもこの戸籍を使いたいから「法定相続情報」を作ってるのに、原本取られちゃったら本末転倒じゃない?

第2層:法令根拠の提示
根拠は法定相続情報証明制度の趣旨及び実務上の運用(規則247条等)です。本制度は、戸籍書類の束を各機関に再提出する手間を省くためのものです。法務局で一覧図の保管・写しが作成された後、確認のために提出された戸籍関係書類(戸籍謄本・除籍謄本等の原本)は、手続き完了後に申出人に「返却(還付)」されます。よって「返却されない」とする本肢は「誤り」です。

肢エ

第1層:直感的判断(キーワード反応)
「申出人を所有権の登記名義人とする不動産の所在地」「管轄登記所にすることができる」。法定相続情報なんだから、亡くなった人(被相続人)の不動産の管轄じゃないの?

第2層:法令根拠の提示
根拠は不動産登記規則第247条第1項(申出先の管轄)です。一覧図の保管等の申出は、以下のいずれかの地を管轄する登記所にすることができます。
① 被相続人の本籍地
② 被相続人の最後の住所地
③ 申出人の住所地
④ 被相続人名義の不動産の所在地
したがって、「申出人」名義の不動産の所在地(④ではない)は管轄ではありません。ここは「被相続人名義の不動産」でなければなりません。よって本肢は「誤り」です。

肢オ

第1層:直感的判断(キーワード反応)
「法定相続情報番号を提供」「写しを提供することを要しない」。番号を伝えれば、法務局の方で「ああ、あの家系システムね」とデータ照会できるから、紙の提出はいらないよね!

第2層:法令根拠の提示
根拠は不動産登記規則第63条等(添付情報の省略)の特例です。オンライン申請等において、事前に法務局で保管された法定相続情報一覧図の「番号(法定相続情報番号)」を提供した場合は、登記官が自局のシステム等から内容を確認できるため、別途「法定相続情報一覧図の写し(紙面)」や戸籍謄本等を提出する必要がなくなります。よって本肢は「正しい」です。

【まとめ表】

正誤 根拠法令・実務 ひっかけポイント
不動産登記規則第247条2項 氏名・生年月日に加えて「本籍」が必須
不動産登記規則第247条6項 保存期間(5年間)中なら何度でも再発行可
× 制度の趣旨・運用 確認が終わったら戸籍原本は返ってきます
× 不動産登記規則第247条1項 「被相続人名義」の不動産所在地が正解。申出人名義は×
不動産登記規則の特例 「番号」の提供で添付省略が可能

※【補足確認】本問の肢は「正しいものの組合せ」です。ア、イ、オが正しいとなると、選択肢の構成によっては複数回答の可能性があります。試験の出題形式に合わせて、「アオ」や「イオ」などの組合せを選ぶことになります(本問の構成としてはオが超重要論点なので絡んでくると予想されます)。

④ 【重要】実務との交差点

実務(特に司法書士との連携や、亡くなった方の土地の分筆・表題登記等の依頼時)において、「法定相続情報一覧図の写しはありますか?」とお客様に聞くのはもはや定番となっています。
昔は、登記申請のたびに分厚い戸籍の束(生まれてから死ぬまでの全ての除籍謄本など)を還付請求し、また次の銀行に持って行く…という苦労がありましたが、この「写し」を法務局で一度作ってしまえば、金融機関の相続手続きも一瞬で終わるようになりました。
そして肢オの「法定相続情報番号」の提供。これはオンライン申請の普及に伴い、調査士が「紙の書類(写し)」を法務局に持参・郵送する手間すら省いてくれる魔法の番号です。「番号を入れれば紙は不要」という感覚は、現代の実務に必須です。

⑤ 関連条文・規則リスト(受験生の自習用)

  • 不動産登記規則第247条(法定相続情報一覧図の保管等):これ一つで制度の全容が分かります。特に「管轄(第1項)」と「記載事項(第2項)」、「5年間の保存(第5項)」は完璧に覚えましょう。
  • 不動産登記規則第63条等:添付情報の提供の省略。番号で省略できるもの(登記事項証明書、会社法人等番号、法定相続情報番号)をまとめておきましょう。

⑥ 受験生が気になるFAQ

Q. 法定相続情報一覧図の保管申出は、調査士や司法書士じゃないとダメなんですか?
A. いいえ、相続人本人が自分で法務局に行って申請することもできます。「申出人」とはその手続をする相続人を指します。

Q. 「最後の住所」ではなく「最後の本籍」が必須なのはなぜですか?
A. 住所は住民票ベースですが、相続(親族関係)の根本は「戸籍」だからです。同姓同名の別人でないことを証明する最強のキーが本籍なのです。

Q. 番号を提供すれば戸籍がいらないなら、最初から番号だけ取れば無敵ですね?
A. そうです!ただし、その「魔法の番号と一覧図」を作る最初の1回だけは、被相続人の出生から死亡までの戸籍を自力で苦労して集めなければなりません(笑)。そこが一番大変なんです。

⑦ まとめ・受験生へのエール

今回の法定相続情報の問題は、登記実務がいかに「便利に、ペーパーレスに」進化しているかを象徴する問題です。
「戸籍の束をあちこちに持っていくのは大変だよね(だからウの返却は必須だし、イの再交付もできる)」「システムで番号が分かれば手で紙を送る必要ないよね(だからオの省略ができる)」というように、「利用する国民の利便性」という視点を持つと、規則の細かい規定も単なる暗記ではなく「当たり前のルール」としてスッと入ってきます。
受験勉強も、この「実務家の感覚」を少しずつ身につけるプロセスです。焦らず確実に自分のモノにしていきましょう。合格後、この知識がみなさんを即戦力にしてくれます!

【※法改正により変更の可能性あり。最新の条文・規則をご確認ください】

※この記事は土地家屋調査士試験の合格者による学習支援を目的とした情報共有であり、法的助言ではありません。条文・判例等の引用は正確を期しておりますが、法改正や新判断により内容が変わる場合があります。最新の情報は法務省の公式サイト、e-Govの法令検索等で必ずご確認ください。


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