① 問題と難易度
【令和7年度 第1問:意思表示】
- 難易度:Aランク(必答問)
- 正解すべき度:★★★★★
- 捨て問か、必答問か: **「絶対必答」**です。このレベルを落とすと合格ラインが遠のきます。基礎知識の組み合わせだけで解けるサービス問題です。
問題文(要約)
錯誤、第三者による強迫・詐欺、意思表示の到達妨害、心裡留保に関する判例・条文の正誤を問うもの。正しい組み合わせを選べ。
② 10秒でわかる結論
「強迫は被害者をフルガード、詐欺は取引の安全も考慮、錯誤は相手の不注意もチェック!」
今回のひっかけポイント: 第三者が絡んだ時の「強迫」と「詐欺」のルールの違い。そして「到達」とみなされるタイミングのズレです。
③ 実務家流!思考プロセス
予備校のテキストを丸暗記するのではなく、私はいつも以下の**「現場感覚のキーワード」**で判別しています。
ア:錯誤(95条)
- 思考: 「自分に重過失があっても取り消せる特殊ケースは?」→ **「相手も同じ勘違いをしてる(共通錯誤)」か「相手が気づいてた(悪意)」か「相手も相当ボケっとしてた(重過失)」**場合。
- 判定: 正しい。相手が重過失で知らなかったなら、表意者を守ってあげようという理屈です。
イ:第三者の強迫(96条)
- 思考: 「強迫」は「詐欺」より悪質。被害者はガクブル状態。だから相手が知ってようが知るまいが、いつでも取消OK! 相手の善意・悪意は関係ありません。
- 判定: 誤り。「取り消すことができない」は間違い。
ウ:第三者の詐欺(96条3項)
- 思考: 取消前の第三者は、登記がなくても「善意無過失」なら最強。これは不動産取引の安全を守るための鉄板ルール。
- 判定: 正しい。
エ:到達の妨害(97条2項)
- 思考: 居留守などで受取を拒否されたら、ズルをした人を不利にする。でも「発送時」まで遡るのはやりすぎ。**「通常届くはずだった時」**に届いたとみなすのが公平。
- 判定: 誤り。「発した時」ではない。
オ:心裡留保(93条)
- 思考: 冗談を言った本人が悪いけど、相手がグル(悪意)なら無効。でも、その後の第三者が「善意」なら、その人に過失があっても保護される(93条2項)。
- 判定: 誤り。善意であれば(過失があっても)対抗できない。
④ 【重要】実務との交差点
土地家屋調査士の現場でも、この「意思表示」の知識は非常に重要です。
1. 境界確認と「錯誤」
例えば、境界立会いの際に「ここが自分の土地の範囲だ」と思い込んで筆界確認書に署名捺印したものの、後から図面を見たら全然違っていた……というケース。 実務上、一度押印された確認書を覆すのは容易ではありませんが、もし**「隣地所有者も同様に勘違いしていた(共通錯誤)」**のであれば、その合意の有効性について議論の余地が生まれるかもしれません。
2. 依頼者の「そんなつもりじゃなかった」
「冗談で安くやるよと言っただけだ(心裡留保)」という主張が通るかどうかは、相手方の善意・悪意にかかっています。 私たち実務家としては、後から「意思表示の瑕疵」を突かれないよう、重要な合意は必ず書面に残し、双方が内容を真に理解しているか確認するプロセスが、トラブル回避の鍵になるかもしれません。
⑤ FAQ:受験生の「ここが知りたい!」
Q:第三者の「詐欺」と「強迫」でルールが違うのはなぜ? A:強迫は「本人の自由な意思が完全に奪われている」ため、より強く保護されます。一方で詐欺は「騙された側にも多少の不注意がある」とされるため、善意の第三者とのバランスが重視されるのです。
Q:錯誤の「重過失」って具体的にどの程度? A:判例上は「著しく注意を欠いた状態」を指します。土地の売買でいえば、現地を一度も見ずに購入するようなケースが該当する可能性があります。
Q:到達妨害の「みなす」の効果はいつ発生する? A:相手方が正当な理由なく受領を拒んだりして、妨害がなければ到達していたであろう「時点」です。「発信時」ではないという点は、試験で非常によく狙われるポイントです。
まとめ:正解は「1(ア・ウ)」
この問題は、各肢のキーワード(重過失、第三者、到達、善意)を瞬時にリンクさせる訓練に最適です。 何度も繰り返して、脳に「反射」を叩き込みましょう!

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