令和6年度行政書士試験の過去問を分析してみた感想。

令和6年度の行政書士試験は、合格者数や合格率を見ると例年とほぼ同程度ながら、問題の出題内容や傾向に「例年より解きやすかった/対応しやすかった」と受験生の間で感じられたように思います。

そこで、公開された試験情報や過去問を見ながら、個人的に分析してみた感想をまとめてみます。受験生にどんな知識が問われているかを整理したつもりですが、あくまで個人的な見解として参考にしてください。

第2問(訴訟の手続の原則)

ア:民事訴訟手続において、裁判長は、口頭弁論の期日または期日外に、訴訟関係を明確にするため、事実上および法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、または立証を促すことができる。
→ 民事訴訟法の“釈明権”を押さえているかを確認する肢。当事者主義が基本でも、裁判所が一定の補充を促せる制度理解を問う。

イ:刑事訴訟手続において、検察官は、犯人の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重や情状、犯罪後の状況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。
→ 起訴・不起訴の判断が「総合事情」で決まることを理解しているかを問う肢。検察の起訴便宜主義の基本を押さえる内容。

ウ:非訟事件手続において、裁判所は、利害関係者の申出により非公開が相当と認める場合を除き、その手続を公開しなければならない。
→ 非訟事件にも公開原則が働き、例外として非公開があることを理解しているかを確認する肢。

エ:民事訴訟手続において、裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨および証拠調べの結果をしん酌し、自由な心証により事実認定を行う。
→ 「自由心証主義」および「口頭弁論の全趣旨」からの事実認定の枠組みを理解しているかを問う肢。

オ:刑事訴訟手続において、検察官は、起訴状に裁判官の予断を生じさせるおそれのある書類や物を添付したり引用したりしてはならない。
→ 起訴状一本主義・予断排除の原則を理解しているかを確認する肢。


第3問(人格権と夫婦同氏制)

ア:氏名は個人識別の機能をもち、人格の象徴であり人格権の一内容を構成する。
→ 氏名が単なる記号ではなく、人格的利益と深く結びつくという最高裁の考え方を理解しているかを問う肢。

イ:氏は婚姻・家族制度の一部であり、氏に関する人格権の内容も法制度によって具体化される。
→ 氏に関する権利は抽象的権利論だけで決まらず、民法などの家族法体系で具体化されるという制度的理解を問う肢。

ウ:家族は社会の基礎単位であり、氏を家族集団を示すものとして一つに定めることにも合理性がある。
→ 判例が夫婦同氏制の合理性として示した「家族表示機能」の考えを理解しているかを見る肢。

エ:現行制度下では、婚姻時に氏の変更を強制されない自由が憲法上の権利に当たるとはいえない。
→ 氏名が人格権であっても、婚姻時の別姓選択の自由までは憲法上の権利として保障されないとの最高裁判断を問う肢。

オ:婚姻前に築いた信用や名誉感情などの利益は人格権とはいえず、それを考慮するかは立法裁量の問題である。
→ これらの利益は一定の価値があるが、制度改正に結びつくかは立法判断に委ねられるという判例理論を理解しているかを確認する肢。

第4問(インターネット検索サービスと削除請求)

ア:個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となるというべきであり、過去の逮捕歴もこれに含まれる。
→ 検索結果に出てくる逮捕歴など「プライバシーに関する情報」も、既存の人格権(プライバシー権/名誉権)の保護対象となる、という判例理論の理解を問う肢。

イ:検索結果として提供される情報は、プログラムによって自動的に収集・整理・提供されるものにすぎず、検索結果の提供は、検索事業者自身による表現行為とはいえない。
→ 検索エンジン運営者の行為を「表現行為(言論)」とみなすかどうか、という法理(表現の自由との関係)を問う肢。

ウ:検索事業者による検索結果の提供は、公衆の情報発信や情報の入手を支援するものとして、インターネット上の情報流通の基盤としての役割を果たしている。
→ 検索エンジンの公共的機能・社会的意義を評価する観点を確認する肢。

エ:当該事実を公表されない法的利益と、当該情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量した結果、前者が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対して URL 等の情報を当該検索結果から削除することを求めることができる。
→ 判例で採られた「プライバシー利益 vs. 知る権利・情報流通の利益」の比較衡量という考え方を問う肢。

オ:過去の逮捕歴がプライバシーに含まれるとしても、児童買春のように、児童への性的搾取・虐待として強い社会的非難の対象とされ、罰則で禁止されている行為は、一定の期間の経過後も公共の利害に関する事柄でありうる。
→ 犯罪歴のような社会的に重要性のある事実が「公共の利害」に属し得るか、そしてそれがプライバシー保護より優先される可能性を問う肢。


第5問(教育に関する憲法判断など)

ア:義務教育は無償とするとの憲法の規定は、授業料不徴収を意味しており、それ以外に、教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用を無償としなければならないことまでも定めたものと解することはできない。
→ 「無償」が授業料だけを指す、という判例(最大判昭和39年2月26日)を理解しているかを問う肢。

イ:教科書は執筆者の学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、また、教科書検定は検定基準に違反する場合に教科書の形態での研究結果の発表を制限するにすぎないので、教科書検定は学問の自由を保障した憲法の規定には違反しない。
→ 教科書検定制度と憲法上の学問の自由(言論・出版の自由)の関係を問う肢(家永教科書検定訴訟 判例を前提に)。

ウ:公教育に関する国民全体の教育意思は、法律を通じて具体化されるべきものであるから、公教育の内容・方法は専ら法律により定められ、教育行政機関も、法律の授権に基づき、広くこれらについて決定権限を有する。
→ 教育の内容・方法の決定権を国(または行政機関)が全面的に持つという理解を問う肢。

エ:国民の教育を受ける権利を定める憲法規定の背後には、みずから学習することのできない子どもは、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するとの観念が存在している。
→ 憲法が保障する教育を受ける権利の解釈(子どもの学習権・成長発達権を含むという理論)を問う肢。

オ:普通教育では、児童生徒に十分な批判能力がなく、また、全国的に一定の教育水準を確保すべき強い要請があること等からすれば、教師に完全な教授の自由を認めることはとうてい許されない。
→ 普通教育(小学校・中学校など)における教師の教授の自由とその制限のあり方について、判例(旭川学力テスト最高裁判決(昭和51年5月21日))がどのように扱ってきたかを問う肢。

第6問(選挙制度の形成に関する国会の裁量)

ア:都道府県が歴史的にも政治的、経済的、社会的にも独自の意義と実体を有する単位である以上、参議院の選挙区選出議員に都道府県代表的な意義を付与し、その枠内で投票価値の平等の実現を図ることは、憲法上許容される。
→ 参議院の選挙区制度として「都道府県を単位とする選挙区=地域代表制」を認める制度設計が、憲法上どう評価されるか(地域代表性 vs. 投票価値平等)を問う肢。

イ:小選挙区制は、死票を多く生む可能性があることは否定し難いが、死票はいかなる制度でも生ずるものであり、結局のところ選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法ということができる。
→ 小選挙区制のメリット/デメリット(たとえば死票や票価値の偏り)を前提に、それが憲法が求める選挙制度として「合理的方法」と認められるかを問う肢。

ウ:同時に行われる二つの選挙に同一の候補者が重複して立候補することを認めるか否かは、国会が裁量により決定することができる事項であり、衆議院議員選挙で小選挙区選挙と比例代表選挙との重複立候補を認める制度は憲法に違反しない。
→ 衆議院の選挙制度で、小選挙区と比例代表の「重複立候補」を認める制度設計(小選挙区比例代表並立制)について、それが国会の裁量として認められるか、憲法上問題ないかを確認する肢。

エ:政党を媒体として国民の政治意思を国政に反映させる名簿式比例代表制を採用することは国会の裁量に属し、名簿登載者個人には投票したいがその属する政党には投票したくないという意思を認めない非拘束名簿式比例代表制もまた同様である。
→ 比例代表制度、特に名簿式比例代表制の仕組みと、有権者・候補者の選択の自由の関係をどう捉えるか、比例代表制度の許容範囲を確認する肢。

オ:参議院の比例代表選出議員について、政党が優先的に当選者となるべき候補者を定めることができる特定枠制度は、選挙人の総意によって当選人が決定される点で、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異ならず、憲法に違反しない。
→ 参議院比例代表で「特定枠(政党があらかじめ『優先当選者』を決める枠)」を認める制度設計が、憲法上許容されるかどうかを論点とする肢。比例代表制と有権者の選択の自由・個人候補者の平等の関係を問う。


第7問(国会議員の地位・特権)

ア:両議院の議員には国庫から相当額の歳費を受ける権利が保障されており、議員全員を対象とした一律の措置としてであっても、議員の任期の途中に歳費の減額を行うことはできない。
→ 国会議員の歳費(報酬)に関する権利と、その保護範囲(任期途中でも減額できるかどうか)についての理解を問う肢。

イ:両議院の議員は、国会の会期中は、法律の定める場合を除いては逮捕されることがなく、また所属する議院の同意がなければ訴追されない。
→ 不逮捕特権・訴追の制限という、議員の身分保障(職務遂行の自由)に関する知識を問う肢。

ウ:両議院の議員には、議院で行った演説、討論、表決について免責特権が認められているが、議場外の行為については、議員の職務として行ったものであっても、免責の対象とならない。
→ 免責特権の適用範囲(議院内の発言・活動か、議院外か)について整理できているかを問う肢。

エ:参議院の緊急集会は、衆議院の解散中に開催されるものであるが、その際にも、議員に不逮捕特権や免責特権の保障が及ぶ。
→ 国会の構造(衆議院解散中の参議院緊急集会の制度)およびそのときの議員特権の適用関係に関する知識を問う肢。

オ:議院が所属議員に科した懲罰には、議院自律権の趣旨から司法審査は及ばないのが原則であるが、除名に関しては、手続の適正さについて審査が及ぶとするのが最高裁判所の判例である。
→ 議院の懲罰権(議院自律権)と司法審査の関係、特に「除名処分」のような重大な懲罰処分における審査可能性の問題を理解しているかを問う肢。

第 8問(行政行為(処分))

ア:処分に瑕疵があることを理由とする取消しは、不服申立ての裁決・決定でしかできない
→ 抗告訴訟(取消訴訟)による判決でも可能。処分取消しは行政事件訴訟法で争うことができる点を確認させる肢。

イ:金銭納付義務を課す処分が違法でも、国家賠償請求するには事前に処分の取消しが必要
→ 国家賠償請求と取消訴訟は別ルートで、必ずしも「先に取消す」が要求されるわけではない点を理解しているかを問う肢。

ウ:「取消訴訟の出訴期間」が過ぎた後は、無効確認訴訟しかできない
→ 無効確認訴訟は出訴期間の制限を受けないため、制度の違いを押さえているかを見る肢。

エ:処分Aの違法が処分Bに承継される場合でも、Aの取消し期間経過後はBの取消訴訟でAの違法を主張できない
→ 違法事由が後続処分に承継される場合の扱いを理解しているか、原処分主義の例外が分かっているかを確認する肢。

オ:瑕疵が重大である処分は、瑕疵の存在が明白でなくても無効とされる場合がある
→ 無効となるのは「重大かつ明白」な瑕疵の場合という基本を確実に理解しているかを見る肢。


第 9問(行政立法)

ア:意見公募手続の対象は法規命令のみで、行政規則は含まれない
→ 行政手続法の「命令等」に行政規則も含まれる点を理解しているか確認する肢。

イ:法律の委任があれば、政令に罰則を設けることもできる
→ 委任の範囲内で政令が罰則を置くことができるという行政立法の基本構造を理解しているかを見る肢。

ウ:委任の範囲を逸脱した命令(委任命令)は違法だが、取り消されるまで有効に扱われる
→ 委任命令が委任を逸脱した場合の効力(原則無効)を理解しているか確認する肢。

エ:通達が国民の権利義務に重大な関わりを持つ場合、取消訴訟を起こせる
→ 通達は内部的な基準であり、原則として処分性がない点を理解しているか問う肢。

オ:過去の処分歴を理由とする量定加重の処分基準がある場合、その基準に反する後行処分は当然無効
→ 処分基準違反=自動的に無効とはならず、裁量権逸脱・濫用が問題となるという判断枠組みを理解しているか確認する肢。

第 10問(行政法・一般原則)

ア:特定の事業者の個室付浴場営業を阻止する目的で町が行った児童福祉施設の認可申請に対し、県知事が認可。要件を満たせば認可処分は違法でない、よって営業は当然違法になる。
→ 行政の形式的な「要件充足=認可/許可」のみで行政行為が正当化され、目的や動機(営業阻止目的など)は問題とされないという形(形式主義)を前提する肢。行政法における裁量や裁量逸脱、濫用の問題、及び要件判断と目的判断の区別の理解を問う肢。

イ:廃棄物処理施設設置を前提にした事業者を、条例に基づき規制対象事業場と認定する処分。条例制定/適用自治体は、事業者の地位を不当に害さぬよう「十分な協議等の配慮すべきだ」が、それは明文義務でなく、違法にはならない。
→ 行政側の「配慮義務」や「手続上の誠実さ(procedural fairness)」の法理について、明文義務でない場合にどこまで違法性や取消事由になるか、行政上の裁量と義務、不文法源としての配慮義務の有無の理解を問う肢。

ウ:信義則(信義誠実の原則)は行政法にも適用されるが、租税関係では租税法律主義のため、たとえ課税処分が法規に適合しても信義則で違法とするのは、個別事情や特段の事情があっても認められない。
→ 行政法上の一般原則である信義則(私人の期待・信頼保護)と、例外的に厳格にされるべき租税関係(租税法律主義)の対立を理解しているかを問う肢。つまり、信義則の適用範囲の限定(特に税分野)という法理的理解をチェックする肢。

エ:地方公共団体が将来継続すべき施策を決め、その前提で私人等が活動を始めた。社会情勢変動で施策変更の可能性があっても、私人に社会観念上看過できない積極的損害が出るなら、補償措置なく変更するのは、信頼関係を不当に破壊する違法。
→ 行政法上の「信頼保護の原則/信義則」の判例理論(例えば 宜野座工場誘致事件)の内容を使えるかを問う肢。私人の期待・信頼を保護する必要性、そして施策変更に対する制限や代償義務の考え方の理解。

オ:国の通達に基づいて地方公共団体が健康管理手当の支給を打ち切った。後にその通達が誤りとされ廃止されても、通達に従っていた時点での打ち切り処分は当時正当だから、消滅時効を主張して支払いを求める訴訟でも信義則に反しない。
→ 通達の法的性質、行政機関の通達運用の正当性・法的拘束力、及び後日の通達取消が過去の処分の正当性にどう影響するか、さらに信義則をもって通達取消後の救済を認めるかの検討 — 通達の扱い、行政の法解釈変更後の影響、利益救済理論の理解を問う肢。


第 11問(行政手続法の適用に関する知識)

ア:法人の免許取消処分は「不利益処分」ではない — 「基礎となった事実が消滅した旨の届出に対する応答」だから行政手続法が適用されない。
→ 「不利益処分」の定義・範囲の理解を問う肢。免許取消という典型的不利益処分について、行政手続法の適用要件を正しく認識できているかの確認。

イ:刑事手続を契機とした処分なので、行政手続法は適用されない。
→ 行政処分と刑事処分との区別、および行政手続法の適用範囲(行政庁による処分かどうか)を理解しているかを問う肢。

ウ:根拠規定が法律にある処分であっても、地方公共団体の機関によるものなら行政手続法は適用されない。
→ 行政手続法の対象範囲について、国か地方か、あるいは根拠法が法律か条例かという観点から誤解しやすい論点を確認する肢。

エ:申請に対する処分を取り消すものなので、処分にあたって、行政庁はできる限り具体的な審査基準を定めなければならない。
→ 「取消処分」と「新たな許認可処分」の違いや、審査基準の明示義務の有無・程度(裁量処分 vs 要件処分)についての理解を問う肢。

オ:法令上必要な資格が失われたことが客観的資料で明らかなので、聴聞など手続を経る必要はない。
→ 聴聞手続や聴聞の必要性(処分の性質、補正可能性、私人の利益保護の必要性など)に関する知識 — 行政手続法でいつ聴聞が必要か、例外はどうかという論点を問う肢。

第 12問(行政指導と行政手続法)

ア:行政指導にあたって、「許認可等をする権限を行使し得る旨」を示すときは、その根拠となる法令の条文など、行政手続法が定める事項を示さなければならない。
→ 行政指導と行政手続法の関係、「行政指導」がどこまで手続法のルールに従うか、特に「明示すべき情報(根拠法令など)」の要否を理解しているかを問う肢。

イ:地方公共団体の機関による行政指導については、根拠となる規定が法律で定められている場合に限り、行政手続法が適用される。
→ 行政手続法の適用対象・適用除外――特に地方公共団体と国との扱いの違いや、行政指導の根拠要件の誤解/正しい理解を問う肢。

ウ:法令違反是正を求める行政指導で、その根拠規定が法律にある場合、相手方は「指導が法律の要件に適合しないと思う」ときに、当該行政機関に対して行政指導の中止などを求められる。
→ 行政指導を受けた側の救済手段――行政指導が任意行為であるとはいえ、法律根拠のある指導では手続的保障(不服申立てまたは中止請求など)の可能性があるかを問う肢。

エ:意見公募手続の対象となる「命令等」には、審査基準や処分基準などが含まれるが、行政指導に関する指針は含まれない。
→ 行政手続法における「命令等」の定義、及び「意見公募手続」(パブリックコメント制度)の対象になる文書の範囲を理解しているかを問う肢。


第 13問(審査基準・処分基準に関する行政手続法)

肢 1:審査基準を公にすることで行政上特別な支障がある場合、公にしなくても違法とはならない。
→ 行政手続法 における審査基準の公表義務および例外(行政上特別の支障)の存在についての理解を問う肢。

肢 2:処分基準は、不利益処分を行う際に、その名あて人からの求めに応じて当該名あて人に示せば足りる。
→ 処分基準の公示義務・示示義務の性質、及びその範囲(全体公開か、個別公開か)についての理解を問う肢。

肢 3:審査基準を作成し、それを公にするのは努力義務に過ぎないので、公にしなくても違法とはならない。
→ 審査基準の設定と公表が義務か努力義務か――行政手続法第 5条の理解を問う肢。

肢 4:審査基準を公にする方法として、法令で定められた申請先の事務所に備え付けることのみ認められ、他の方法は許されない。
→ 審査基準の「公示」の方法(どんなルートで国民に知らせるか)の理解――限定論か柔軟論かを問う肢。

肢 5:処分基準を定めるのは努力義務だが、一旦定めたら公にする法的義務を負う。
→ 処分基準の「設定義務」と「公示義務」の構造、および義務の強さ・性質を問う肢。

第 14問(行政不服審査法 における審査請求)

ア:審査請求は、審査請求人本人がしなければならず、代理人によることはできない。
→ 審査請求に代理人を使えるか(代理人審査請求の可否)を問う肢。つまり、代理人利用の可否、必要書類(委任状など)の理解。

イ:審査請求人以外の利害関係人は、審査請求に参加できないが、書面で意見提出だけはできる。
→ 第13条の参加人制度についての理解――利害関係人が「参加人」として参加できるか、また意見提出の可否を問う肢。

ウ:多数人が共同して審査請求する場合は、必ず1人の総代を選ぶ必要がある。
→ 複数共同での審査請求の方法論――共同申立時の「総代」の選任義務の有無を確認する肢。

エ:審査請求人が死亡したら、その地位は消滅し、請求は当然に終了する。権利の承継にかかわらず。
→ 審査請求人の資格(自然人)の喪失が審査請求にどう影響するか、死亡による終了や継承の扱いを問う肢。

オ:法人でない社団または財団でも、代表者などが定められていれば、その社団・財団名義で審査請求できる。
→ 社団・財団(法人格を持たないものを含む)の審査請求可能性、そして代表者・管理人による手続の可否を問う肢。


第 15問(行政不服審査法の対象・適用範囲など)

肢 1:金銭の納付命令や給付の制限など金銭給付に関する不利益処分は、行審法の対象ではない。
→ 行政不服審査制度でどのような処分が「審査請求の対象」か―特に、金銭給付・納付命令のような経済的処分が含まれるかどうかの理解を問う肢。

肢 2:法令に違反する事実があるにもかかわらず処分がされない場合(不作為)についても、審査請求できる。
→ 「不作為」に対する審査請求の対象性――法令上の申請に対する行政庁の不作為を、行審法で救済できるかの理解を問う肢。

肢 3:地方公共団体の機関による処分で、根拠規定が条例または規則のものについては、行審法は適用されない。
→ 行審法の対象となる処分の根拠法の種類(法律か条例か規則か)と、地方公共団体の処分の扱いの理解を問う肢。

肢 4:地方公共団体またはその機関が、固有の資格で処分の相手方となるものには、行審法は適用されない。
→ 「処分の相手方が公共団体・機関自身」である場合の適用除外の可能性――行審法の適用対象の要件(誰が相手か)を確認する肢。

肢 5:行審法は、自己の法律上の利益に関わらない資格をめぐるもののような不服申立ても対象とする。
→ 「不利益などの直接の法律上保護利益がなくても」審査請求できるかという、制度趣旨・適格要件の理解を問う肢。

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