【令和7年土地家屋調査士試験・午後の部第20問】土地家屋調査士法の攻略法

土地家屋調査士試験の勉強、お疲れ様です!午後の部の択一式で最後を飾る第20問は、例年「土地家屋調査士法」からの出題となります。ここで確実に1点を取れるかどうかが、総合点アップの鍵を握ります。
この記事では、令和7年度 午後の部 第20問を題材に、土地家屋調査士法人の定款変更の届出先、補助者の届出先、複数事務所の設置可否、法人の当然脱退事由、心身故障時の登録取消の主体について、基礎からしっかり解説します。

① 問題と難易度

【問題の要約】
土地家屋調査士法の規定(法人の定款変更届出先、補助者を置かなくなったときの届出先、複数事務所の設置、法人の当然脱退事由、心身の故障による登録取消権者)に関するア〜オの記述のうち、正しいものの組合せを選ぶ問題です。

【各選択肢の要約】
ア:調査士法人が定款を変更したとき、法務局等に届け出なければならないか。
イ:調査士が補助者を置かなくなったとき、遅滞なく所属の調査士会に届け出るか。
ウ:連合会に届け出れば、複数の都道府県に事務所を設置できるか。
エ:調査士法人の社員である調査士が登録を取り消された場合、法人の当然脱退事由となるか。
オ:調査士が心身の故障で業務不能になった場合、連合会が登録を取り消さなければならないか。

【難易度判定】
Aランク(必答)
調査士法の基本中の基本を問う問題です。「誰が誰に対して届け出るのか(法務局か、調査士会か、連合会か)」を正確に暗記していれば瞬殺できます。

【一言アドバイス】
調査士法を学習するコツは、「権限の主体」をイメージすることです。「登録・名簿管理の親分は連合会」「日常トラブル・監督の窓口は所属の調査士会」と分けて覚えると、届出先の判断で迷わなくなります。

② 10秒でわかる結論

事務所は全国で「1つ」だけ!補助者の登録・抹消は「所属の調査士会」へ!法人の社員が調査士資格(登録)を失ったら当然に脱退する!
(根拠条文:土地家屋調査士法第23条、第60条等)

③ 思考プロセス ~法令で斬る解法実況~

それでは、各選択肢を分析していきましょう。

肢ア

第1層:直感的判断(キーワード反応)
「法人が定款を変更した」「法務局に届け出る」。法人(会社のようなもの)のルールが変わったのに、国(法務局)に直接言うの?親分(連合会か調査士会)じゃないの?

第2層:法令根拠の提示
根拠は土地家屋調査士法第36条等です。調査士法人が定款を変更したときは、主たる事務所の所在地を管轄する「法務局長又は地方法務局長(法務局)」に認可をもらう…のではなく、法人の設立や定款変更等は「日本土地家屋調査士会連合会(連合会)」または「所属の調査士会」に対して届出・登録等の手続きを行います。
より正確には、定款を変更したときは、主たる事務所の所在地の属する「所属の土地家屋調査士会(を経由して日本土地家屋調査士会連合会)」に対して届け出ます。法務局に直接届け出る規定はありません。よって本肢は「誤り」です。

肢イ

第1層:直感的判断(キーワード反応)
「補助者を置かなくなった」「遅滞なく所属の調査士会に届け出る」。補助者の管理は、普段一番お世話になってる地元の調査士会がやってるはずだ!

第2層:法令根拠の提示
根拠は土地家屋調査士法施行規則第28条(補助者の届出等)です。調査士は、補助者を置いたとき、又は補助者を置かなくなったときは、遅滞なく、その旨を「所属の土地家屋調査士会」に届け出なければならないと定められています。補助者のバッジ(身分証)の発行も会が行いますからね。よって本肢は「正しい」です。

肢ウ

第1層:直感的判断(キーワード反応)
「届け出ることにより」「複数の都道府県に事務所を設置できる」。えっ、一人で東京と大阪に事務所を持てるの?それは「司法書士法人」みたいな大規模じゃないと無理じゃ…個人はどうなの?

第2層:法令根拠の提示
根拠は土地家屋調査士法第23条(事務所)です。「調査士は、その業務を行うための事務所を、その所属する調査士会の管轄区域内に設けなければならない。」そして、「調査士は、いかなる名義をもつてしても、二以上の事務所を設けることができない。」と強行法規で定められています(一人一事務所の原則)。届出をしたからといって、複数の事務所を設置することは絶対にできません。よって本肢は「誤り」です。

肢エ

第1層:直感的判断(キーワード反応)
「法人の社員が登録取消」「当然に脱退する」。調査士法人なんだから、社員(役員)全員が調査士資格を持ってないといけない。資格を失ったらクビ(脱退)は当然!

第2層:法令根拠の提示
根拠は土地家屋調査士法第38条第1項・第2項(社員の法定脱退)等です。調査士法人の社員は、必ず「土地家屋調査士」でなければなりません(第26条)。そのため、社員がその要件を欠く事態(土地家屋調査士法人の社員たる資格の喪失=「登録の取消し」等)が生じた場合には、当該法人の社員としての地位を維持できず、「当然に脱退」することになります。よって本肢は「正しい」です。

肢オ

第1層:直感的判断(キーワード反応)
「心身の故障で業務不能」「連合会が登録を取り消さなければならない」。連合会が勝手に「お前はもう仕事できないな!クビ!」って強制的に取り消せるの?

第2層:法令根拠の提示
根拠は土地家屋調査士法第15条(登録の取消し)です。調査士が心身の故障により調査士の業務を行わせることが適当でない状態にあるときは、日本土地家屋調査士会連合会は、当該調査士の登録を取り消すことが「できる」とされています(裁量・任意取消し)。必ず「取り消さなければならない(絶対的取消・必要的取消)」わけではありません。よって、絶対的取消事由としている本肢は「誤り」です。

【まとめ表】

正誤 根拠法令・実務 ひっかけポイント
× 調査士法等 法人の定款変更届出先は法務局ではなく会・連合会
規則第28条 補助者の人事管理(届出)は地元の調査士会へ
× 調査士法第23条 一人一事務所の原則・複数設置は絶対不可
調査士法第38条(法定脱退) 調査士資格(登録)喪失=社員資格の当然喪失
× 調査士法第15条 心身の故障は「できる(任意取消)」。「しなければならない」ではない

→ 正解は イとエ を含む組合せです。

④ 【重要】実務との交差点

調査士法は単なる暗記科目ではなく、皆さんが合格後に「絶対に守るべきルールブック」です。
例えば肢イの「補助者の届出」。実務に出ると、パートさんを雇って測量の手元(ポール持ちなど)を手伝ってもらうことになります。この時、法務局での図面閲覧などを代行させるためには、調査士会に補助者として登録し、「補助者証」を発行してもらう必要があります。この手続きを忘れると、最悪の場合「非弁活動・名義貸し」を疑われるトラブルになりかねません。
また、肢ウの「複数事務所の禁止」。一人で複数の拠点を構えて「名義貸し」のようなことをするのを防ぐための規定です(社員が複数いる法人格になれば別ですが、個人の場合は1つだけ!という鉄の掟です)。

⑤ 関連条文リスト(受験生の自習用)

  • 土地家屋調査士法第15条等(登録の取消等):「しなければならない(必要的取消)」と「することができる(任意的取消)」の区別は過去問で何度も出題されています。必ず整理表を作りましょう。
  • 土地家屋調査士法第23条(事務所):一人一事務所の原則は絶対です。
  • 土地家屋調査士法第26条〜、第38条〜(調査士法人):法人の設立、社員の資格、脱退事由のルールを個人と比較して覚えましょう。

⑥ 受験生が気になるFAQ

Q. 調査士法から1問しか出ないのに、覚えることが多すぎませんか?
A. そう感じるかもしれませんが、毎年出るテーマは「登録・取消」「調査士会の役割」「法人化の要件」など、ある程度パターン化されています。過去問10年分を完璧にしておけば、確実に拾えるおいしい得点源になります。

Q. 法人の社員って従業員のことですか?
A. いいえ、調査士法(および会社法上の持分会社)でいう「社員」とは、株式会社における「役員(出資者+業務執行者)」のことです。ただの従業員(補助者や、雇用されて勤務するだけの調査士)とは明確に区別されます。

Q. 「心身の故障」だと絶対に取り消されるわけじゃないんですか?
A. その通りです。一時的な休養で回復できる見込みがある場合などまで、一律に強制で資格を奪う(取り消さなければならない)のは厳しすぎるため、「連合会の判断で取り消すことができる」という裁量規定になっています。

⑦ まとめ・受験生へのエール

午後の部の択一20問、本当にお疲れ様でした!
最後の第20問(調査士法)は、試験本番で「時間がなくて焦る!」という状況の中で解くことが多い問題です。だからこそ、イとエのような「明らかな正解肢」を一瞬で見抜く反射神経が求められます。
調査士法をマスターすることは、自分が将来「どんな権限と責任を持つ専門家になるのか」を知ることです。誇りを持ってこの法律に触れてみてください。みなさんが調査士バッジを胸に、現場で活躍する日を心から応援しています!

【※法改正により変更の可能性あり。最新の条文をご確認ください】

※この記事は土地家屋調査士試験の合格者による学習支援を目的とした情報共有であり、法的助言ではありません。条文・判例等の引用は正確を期しておりますが、法改正や新判断により内容が変わる場合があります。最新の情報は法務省の公式サイト、e-Govの法令検索等で必ずご確認ください。


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